明治一代女に出会う─黄金柑マーマレード


 世の中には知らないことがいっぱいあるもんだ。
 八百屋の店先に見慣れない蜜柑、正確にいえば柑橘類を見つけた。
 大きさは小振りの温州ミカンよりも小さく、黄色をしている。
 黄金柑。
 なるほど見た目はその通りだが、傷もあって柚子のように野生的。
 ジャムにしてみようと試しに買って帰った。

 とにかく初めて目にした果物だったので、家でどんな果物なのか調べてみた。
 知らない果物をジャムにするとき、一応はどんな果物なのか調べてみる。
 ジャム作りの傾向と対策。
 受験勉強は苦手だったが、ジャム作りのためにはまずは下調べ。

 すると、出生は不明だが鹿児島県日置市東市来町近辺で、明治時代に栽培されていたということがわかった。
 黄蜜柑と呼ばれていたそうだ。
 ちなみに東市来町は「ひがしいちきちょう」と読むそうだ。鹿児島市の西、薩摩半島北西部。鹿児島本線にあるが、降りたことはない。
IMG_0815 (400x300)
 それにしても明治時代からあったとは・・・
 小柄で色も香りもよく、しかも食べてみると、瑞々しくてこれがまた旨い。
 ちょっとイイ感じの明治女に出会ったようで、今まで一面識もなかったことが口惜しい。
 
 世の中なんてそんなもんだ。
 人間の一生なんて短い。知らないことを山ほど残したまま、人生を終える。少年老い易く学成り難し。
 ・・・ミカンごときで、ちと大袈裟か。

 マーマレードにすると、期待に違わず美味しい。
 今は神奈川県が主産地で、生産量が少ないために出回る時期が限られているそうだ。
 思わず、その日のうちにもう一袋買い求めてしまった。
 来年は、この麗しき明治女に再会できるだろうか。

→ 黄金柑マーマレードの作り方

勝手にゴーヤが緑のカーテン作戦─2018

IMG_0800 (400x300)
 3月に入ってから急に暖かくなって、桜が開花したと思ったら、あれよあれよという間に満開になって、気がついたら葉桜になっていた。
 吉野山の千本桜も4月上旬には奥から下まで満開になって、今はもう葉桜。
 東京ではツツジが咲き始めていて、例年ならゴールデンウィークに合わせたツツジ祭も、咲き終わってしまうのではと心配しているそうな。

 そんな異変が我が家にも訪れたのか、4月上旬、「ゴーヤが芽を出しているよ」と連れ合いに言われ、ベランダのプランターを覗くと、確かにゴーヤが芽を出していた。
 それで先週の4/10、掘り出してポットに8苗ほど植え替えた。双子葉から早いのは本葉を出し始めている。
 プランターには芽を出したばかりのゴーヤが同じくらいあって、このままなら今年は種から苗を作る必要もなさそうだ。

 去年の記録を見ると、やはり5苗ほど自然発芽していたが、ポットに植え替えたのは5/1のことだったから、今年は20日も早い。
 余り早いと心配なのは気温で、寒さが戻ると苗が弱ってしまうかもしれない。
 それで、当面は夜間には温室に入れたりするので意外と手間がかかる。

 トマトも落ちた実から自然発芽していて、ゴーヤの前日4/9にプランターからポットに植え替えた。
 こちらも数え切れないほどで、間引きしても多すぎる。
 ゴーヤに比べるとトマトは丈夫なので、水さえ上げていればすくすく育つだろう。

 さて、バジルはまだ芽を出していない。
 去年の秋に発芽して枯れてしまったから、今年はダメかも・・・
 というわけで、今年のゴーヤで緑のカーテン作戦は、知らぬ間に勝手に始まっていたのだった。

 そういえば、ルコウソウも芽を出していた。みんな勝手にシンドバッド・・・
IMG_0811 (400x300) IMG_0797 (400x300) IMG_0801 (400x300)

高畑勲さんを悼んで


 先週の4月5日、高畑勲さんが亡くなられた。
 82歳だったそうで、もうそんなお歳だったのかと意外な気がした。
 高畑さんとは『火垂るの墓』を監督された時に、一度だけお会いしたことがある。
 控え目な方で、その時も挨拶程度にしか言葉を交わさなかったが、私が最も尊敬するアニメーション監督だった。

 有能な方がお亡くなりになると、よく「惜しい人を亡くした」と社交辞令のような言葉が使われるが、訃報を聞いて思わずこの言葉が口をついた。
 本当に惜しい人が亡くなった。高畑さんの新しい作品が見られなくなるのは、本当に残念だ。

 高畑さんについては、東京大学仏文科を出て東映動画に入社され、長年アニメーションの演出をされてきたこと以外はあまり知らなかった。
 9歳の時に岡山で終戦を迎えられ、岡山大空襲を体験されたという話を知って、改めて『火垂るの墓』に描かれた高畑さんの戦争への想いと、高畑さんの世界観の一端を理解できたような気がする。

 私が初めて高畑勲という監督を意識したのは、1981年に公開された劇場版『じゃりン子チエ』だった。
 青年誌に連載されていた漫画が原作で、主人公はホルモン焼き屋の小学生の女の子。父親が遊び人のために代わって店を切り盛りし、家族や町の大人たち、学校の悪友たちとの交歓を描くコメディとなっている。 
 
 チエの声をタレントの中山千夏さんが演じ、劇場版では関西のお笑い芸人と俳優がほかのキャラクターの声を担当した。
 当時、アニメーションでは専門の声優が演じるのが当たり前で、個性が強い上にアテレコに不慣れな人たちの起用には批判的な意見も多かった。

 専門の声優なら器用に演じる。
 しかし、お笑い芸人たちの演技には大阪人特有のバイタリティがあり、ホルモン焼き屋を舞台にした活気ある『じゃりン子チエ』の世界観に上手く嵌っていると感じた。

 この作品で私がもっとも感心したのは、チエがホルモンを焼くガスコンロにマッチで点火した後に、マッチ棒を手慣れた手つきでひょいと振って火を消すシーンで、そこに父親に代わってホルモン焼き屋を営む少女の生活感とリアリティが凝縮されていた。
 
 実写の映画で俳優が演じても、このような生活感が出せるとは限らない。
 手書きのアニメーションだからこそできる演出、動きなのだが、このような演出が誰にでもできるわけではない。
 このシーンを見た瞬間、私は高畑勲という人の比類なき才能を知った。

 アニメーションに限らず、劇映画の多くはストーリーで語られる。
 エンタテイメントもあればヒューマンドラマもあって、私たちはそのストーリーを楽しんだり感動したりするわけだが、そこに哲学を語れる人が作家なのだろうと思う。
 日本のアニメーション監督で、高畑勲のほかに作家と呼べる人を私は知らない。

 寡作な人で、2013年の『かぐや姫の物語』が最後の監督作品となった。
 高畑さんが関わった作品としては、2016年のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の『レッドタートル ある島の物語』が最後となった。
 どちらも感銘を受ける作品だった。



運営者

七会 静 (ななえ・しずか)

▼著書
ハリー・ポッターの魔法ワールド大図鑑 (廣済堂PB)
「ハリー・ポッター」のホントの魔法事典 (廣済堂PB)
よくわかる「世界の死神」事典 (廣済堂文庫)
ナルニアへの旅―ファンタジー・ツアー・ガイド(主婦と生活社)
幻の錬金術師列伝―賢者の石の探求者たち(主婦と生活社)
ハリー・ポッターの魔法ガイドブック 愛蔵版(主婦と生活社)

(c)NANAE SHIZUKA

リンク
▼運営者の関連サイトです。



▼オンライン辞書
goo辞書  YAHOO!辞書  infoseekマルチ辞書
weblio辞書  @nifty辞書  英辞郎on the WEB

▼参加しています。
ブログランキング・にほんブログ村へ

サイト案内
調べたい言葉を、下の窓に入れて検索ボタンを押してみてください。
もしかしたら、その言葉について書かれた記事が見つかるかも・・・

▼本ブログについての説明・・・
「言葉の重さと、我が存在の軽さについて」  (2007/2/3)
最新記事
最新コメント
カテゴリ
カレンダー
03 | 2018/04 | 05
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
月別アーカイブ
メールフォーム

▼運営者への連絡にお使いください。

お名前:
メールアドレス:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
QRコード
QR
お知らせ
▼更新は、現在週1回程度を予定しています。
▼本ブログではFC2アクセス解析を行っています。
▼2006/6/30以前の記事は JUGEM ブログ、2011/9/30以前の記事は忍者ブログに掲載していたものです。2011/9/30以前のコメントには、移転時に一部欠落してしまったものがあります。またコメントに対しての運営者の返事はすべて欠落しています。コメントをいただいた方には、ご了承をお願いします。
▼上記移転時に、一部レイアウトの乱れているページがあります。またリンクが正しくないものがありますが、ご了承ください。
▼不適当と判断されるコメントは、断りなく削除することがあります。
▼トラックバックは受け付けていません。
▼本ブログでは著作権法の権利を保持しています。記事および写真の無断での複製・転載・送信・翻訳等はできません。
▼記事の一部を引用する場合は、本ブログからの引用であることを明記し、上の欄のメールフォームでご連絡ください。
▼リンクはフリーです。