二人の吉田に呪われた朝日新聞

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 2014年9月12日は、歴史的な日になるかもしれない。

 吉田昌郎福島第一原発所長の東日本大震災時の原発事故についての証言、いわゆる吉田調書に関して朝日新聞が今春報道した記事が誤報であったと、朝日新聞社長が記者会見を開いて謝罪した。
 社長の説明を読む限りは、故意か過失かは別にしても、誤報というよりは捏造に近い。

 朝日新聞には過去にも捏造記事があり、有名なものとしては1950年の伊藤律会見捏造、1989年珊瑚破損捏造がある。
 後者は、朝日新聞カメラマンが捏造写真の撮影のために故意に珊瑚を傷つけたことから、社長が引責辞任した。

 誤報や捏造の多くは功名心に駆られた記者個人の責に負うところが大きく、それを見抜けなかった編集にも当然責任はある。
 8月初めに朝日新聞が韓国人従軍慰安婦についての32年前からの記事を撤回したが、こちらは慰安婦を強制連行したと告白した吉田清治証言が基になっている。
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 強制連行の証言の虚偽は20年以上前から明確になっていたにも関わらず、朝日新聞が四半世紀近くその誤りを認めてこなかったのは、政治的意図を持った組織的な捏造・隠蔽と言ってよく、吉田調書の誤報も社内組織が政治的意図を持って捏造したものと見られても仕方なく、記者個人の資質を超えた会社全体の資質の問題になっている。

 これまでも、こうした政治的意図を感じさせる記事について、朝日新聞は自らの非を認めようとはしなかった。
 無謬性を旨とするところは、例に出して申し訳ないが共産主義国家やマルクス・レーニン主を標榜する政党、かつての新左翼過激派、あるいは責任を避けたがる官僚組織と変わらない。
 朝日新聞の無謬性に固執する姿は、左翼的政治スタンス、あるいはエリート主義の表れと考えられてきた。





 1971年に新左翼過激派・赤​衛​軍が起こした朝​霞​自​衛​官​殺​害​事​件では、当時朝日ジャーナルに在籍していた朝日新聞記者が逮捕されている。
 取材を通して赤​衛​軍の協力者となった記者は、犯人蔵​匿​及​び​証​拠​隠​滅で有罪となり、朝日新聞社を解雇されている。
 記者はその後、映画評論家となった川本三郎さんで、彼が書いた回想記で映画にもなった『マイ・バック・ページ』には、そうした朝日新聞記者と組織の常​識​で​は​考​え​ら​れ​な​い特権意識と傲​慢​さが良く描かれていて、一読・一見の価値がある。
 映画は山​下​敦​弘監督で、妻​夫​木​聡と松山ケンイチが出演しているので、女性にも楽しめる。

 今回の社長謝罪会見にしても、本当の狙いは池上彰さんまでリングに上がって猛攻撃を浴びせられた従軍慰安婦撤回騒動の収拾。
 その収拾策を捜していたところに吉田調書捏造記事が重なったので、潔く二つまとめて謝罪することで読者の批判をかわそうという朝日の思惑が透けて見える。

 邪推と断った上で推測すれば、今回の事態に最も危機感を持っていたのは営業だったのではないか?
 朝日新聞社長が従軍慰安婦記事で謝罪しない限り、読者離れを起こして部数は大雪崩となって、朝日新聞崩壊の存亡の危機に直面すると危惧したのではないか?

 ただ、今回の事態は朝日新聞にとっては千載一遇のチャンスかもしれない。
『マイ・バック・ページ』を見てもらえればわかるが、朝日は特権主義からくる無謬性の自縄自縛に陥っていたと思われる。
 人間、一度プライドを捨てて、謝ることを覚えれば、これほど楽なことはない。
 朝日の記者と組織が無謬性を捨てて、自らを解放するチャンスだと考えれば、朝日新聞は大きく生まれ変わることができるかもしれない。

 今は読売と産経が鬼の首をとったようにはしゃいでいるが、目くそ鼻くそ。
 たまたまテレビ朝日のワイドショーを見ていたら、珍しく社長謝罪会見を取り上げていた。
 朝日グループとして、見て見ぬふりをいつまでも続けられないと悟ったのだろう。

 だが、そこはやはりテレビ朝日で、第三者であるコメンテーターに「朝日だけをバッシングしてれば良いというものではない」と言わせていたが、むしろ今回は徹底的に朝日を叩くべきだと思う。

 戦前、軍国主義に協力した朝日新聞は、終戦時に中途半端な意識改革しか出来なかった。
 スローガンを反体制に書き替えただけで、憲法の保障を受けながら言論機関という権力主義を振りかざし、特権意識の下、時に一般市民の人権を蹂躙し、世論を誘導しようとしてきた。
 朝日が健全なメディアとして生まれ変わるためには、一からの出直しが必要で、そのためには朝日を徹底的に叩いた方がよい。
 新聞に未来があるのかどうかという時代に、それをしなければ座して死を待つだけになる。

 朝日を徹底的に叩いたら、次に読売・産経・日経・毎日を徹底的に叩けばよい。
 その次にはNHKを徹底的に叩き、テレ朝・日テレ・フジ・テレ東・TBSを徹底的に叩く。
 そうすれば、日本のメディアももう少しまともになれる。

※写真は9月12日付朝日新聞朝刊。
左上から1面(全面)、2面(全面)、3面(右半面)、社会面(ほぼ全面)、同(左1/3)が、社長謝罪に関連した記事に充てられている。

そろそろ忘れられ始めたSTAP細胞騒動について思う


 STAP細胞論文疑惑事件について書くと言ってから1週間が経ってしまった。途中、詐欺メールのことを書いたにせよ、なにがなる早だ。

 その間に、マレーシア航空機失踪事件の捜索は遅々として進展せず、オーストラリア西のインド洋で主翼らしきものが見つかったとか。ブラックボックスの回収もタイムリミットが近づきつつあり、このまま謎で終わるのか?
 クリミア半島がロシアに占拠されたり、ベビーシッターに預けた子供が死んだりと、世の中は目まぐるしく、きっとSTAP細胞のことなんてみんな忘れてしまったに違いない。
 諸論は出尽くしているし、その話題を蒸し返すのもなんだとは思ったが、書くと宣言してしまったのでやっぱり書くことにする。

 1月末にSTAP細胞の論文が発表された時、初めからマスコミの報道姿勢に懸念を抱いていた。
 画期的な発見というのは2011年名古屋大学などのニュートリノ光速を超えたという発表が実験ミスだったように、一度は疑ってみる必要がある。研究者は故意ではなく過誤によって研究をミスしている可能性があり、当の本人はそのことに気づいていない。
 研究が発表された後、世界中の研究者が論文の内容を確かめ再現実験を行う。それによって研究成果が本当に正しいかどうかが立証される。

 今回の場合、研究はマウスの実験結果でしかなく、それはそれで意味があるが人間や大型哺乳類で同じ成果が得られなければ実用化には進まない。
 中心になったのが若い女性研究者で、割烹着で実験を行っていたという話題性もあって、マスコミは大騒ぎした。しかし、論文そのものは追試を受けてなく、再現実験ができずに却下される可能性はあった。
 そうなった場合、スターになった彼女が掌を返したような仕打ちを受け、研究者として大きな痛手を受けるのではないかと心配した。まだ将来のある若い研究者だけになおさらそう思った。

 実際、その後再現性が証明されず、逆に不正があるのではないかと疑われ始めた。
 博士論文を含め、彼女が意図して不正を働こうとしたのかはわからない。STAP細胞の論文は共同執筆者がいて、彼女の上司にあたる。大学ならば研究室の教授のようなもので、報道では研究室全体が功を焦ったとの指摘もある。
 彼女がどこまで中心的であったのかも疑問で、彼女自身、自分の研究成果を補強するために軽い気持ちで不正を行ったのかもしれないし、彼女だけの意思で行われたのではないのかもしれない。

 まあ、いずれにしても彼女の研究者としての倫理に問題はあるが、研究を捏造しようとしたのかどうかまではわからない。
 しかし、1か月前に彼女を持ち上げたマスコミは掌を返したように、彼女を嘘つきのように扱った。事実だけを報道すればよいのに、当時、マスコミが持ち上げた取材映像まで流して、またも大騒ぎした。

 さすがに今回ばかりは、マスコミも反省したのかもしれない。話題性だけに飛び付くマスコミの軽率さが指摘されると、STAP細胞論文疑惑報道は急速に萎んだ。
 そうではなく、この話題に飽きたのかもしれない。
 ただ、一言だけ言っておきたい。

 彼女を擁護するつもりはないが、科学者にありがちな世間知らずの未熟さゆえの過誤だったとしても、マスコミに派手に持ち上げられて貶められた結果、彼女の研究者の将来は失われてしまった。
 自業自得かもしれないが、一人の人間を潰した責はマスコミにもある。

 そのマスコミを煽った責任の一端は理研にもある。今回の不正が研究室ぐるみなら尚更だ。独立行政法人として、あるいは研究者として予算獲得のために派手な成果が欲しかったのかもしれない。研究成果を検証することなく、彼女とマスコミを利用した理研は、その在り方を問い直すべきだ。

 前にこんなことを書いたことがある。10/7/24「コンニャク狂騒曲in小石川植物園」だ。
 事件の重大性からは比較にならないが、科学者が金のことを考え始めるとろくなことはないという証左だ。

 理事長の野依良治さんは、「未熟な研究者がデータを杜撰、無責任に扱った。徹底的に教育し直さないといけない」と語ったが、責任を個人の問題に帰してしまうところに野依さん自身が未熟さに気づいていない。
 研究者を理研に、データを研究に入れ替えた方がいい。
「未熟な理研が研究を杜撰、無責任に扱った。徹底的に教育し直さないといけない」

NHKには政見放送の時間分の受信料を返してほしい



 先日の朝日新聞に、関東7都県での政見放送の総時間数が8日間で49時間26分だという記事が載っていた。
 前回は32時間38分。増えた理由は多党化のため。1日平均6時間10分、13日が最大で7時間25分。都知事選もあるため、7時間45分になるという。

 NHKは無駄に24時間放送をしているが、それでも政見放送時間は単純に1日の放送時間の3分の1である。どうせなら誰も見ていない夜中に放送してほしいが、みんなが見ている昼間と夜の通常の時間帯である。
 なぜ、1日の3分の1の時間、ろくでもない政見放送のために受信料を負担しなくてはならないのか?

 返してほしい。1か月のうちの8日分の3分の1の時間の受信料を返してほしい。計算すると、約120円である。
 10月に120円値下げしたけれど、さらに120円返してほしい。

 今月初め、民主党の安住淳幹事長代行に数土文夫前NHK経営委員長が政治献金していたというニュースがあった。
 献金は昨年で、当時安住さんは民主党国対委員長、数土さんはもちろんNHK経営委員長。献金は5月と8月の2回で計10万円だが、金額の多寡が問題ではない。

 安住さんはNHK政治記者出身で、NHK経営委員長からNHKのOB政治家への寄付。しかも相手は国対委員長と、なんとなくキナ臭い。

 立場を考えれば渡す方も渡す方なら、貰う方も貰う方である。
 昨年の5月と8月に政治献金しなければならない事情がNHKにあったのかどうか知らないが、それ以前の問題としてNHKは政治的中立でなければならないわけで、それは視聴者に対する誓約・義務であって、しかも視聴者から強制的に取り上げている受信料で成り立っている半国営企業である。
 たとえ経営委員長のポケットマネーであってもNHKから報酬をもらっている以上は、李下に冠を正さずである。

 李下に冠を正さす。前にも書いたことがあると思って調べたら、5/28「NHK経営委員長の”君子”考─李下に冠を正さず」で、数土さんのことを書いた記事だった。
 瓜田にずかずかと入り込み、李(すもも)の木の下で手を上げたがる人のようだ。

 李下に冠を正さず、は献金を受け取った方も同様である。
 こんな政治家たちの政見放送のために、なぜ受信料を払わなければいけないのか? 政党が国民から政治資金を収奪する目的で勝手に決めた政党助成金を払わされるだけでなく、誰も見もしない彼らのどうしようもない政見をNHKで放送するための費用をなぜ、視聴者が二重に負担しなくていはならないのか?

 政治とNHKのもたれ合いの構図を見せられるのは、もううんざり。早くNHKを民営化して、受信料の強制徴収を廃止してほしい。
 それとも数土さんの政治献金は、NHKの民営化や受信料の値下げに手心を加えてもらうためだったのか?
 せめて、政見放送の120円分、視聴者に返還せよ。

 あ、政見だけど、言葉の意味は、「政治を行う上での意見・見解」(大辞泉)のこと。いや、「当選するための出まかせ」か。


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