日光プリンスホテル営業再開・・・は悲しいニュース?


新たに打たれた日光プリンスホテル前の境界見出標
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元スキー場道路側のコテージは雨で土止めが崩れている
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解体工事が始まりシートに覆われたレークサイドホテル

 大谷石地下採掘場跡から日光路を辿り、いろは坂から中禅寺湖畔にある中禅寺金谷ホテルに到着したのは夕方だった。

 翌日はボートハウスで休んだ後、閉鎖中の日光プリンスホテルに。
 湖岸の砂浜で「日光プリンスホテル・境界見出標」と書かれた金属製の杭を見つけたが、昨年は気が付かなかったので、おそらくこの1年の間に打たれたものらしい。
 この杭の意味を知ったのは、中宮祠二荒山神社のお参りを済ませ、昼食にレストランに入った時だった。
 レストランの御主人から、2019年に日光プリンスホテルが営業を再開するという話を聞いた。

 昨年、9/29「生まれ変わる中禅寺湖(4)リッツ・カールトン開業?」に、休館中の日光レークサイドホテルがリッツ・カールトンに生まれ変わるという話を書いた。
 昨年11月の東武鉄道の公式リリースによれば、2020年夏にザ・リッツ・カールトン日光としてオープンする予定で、建物は建て直しになる。

 全室50㎡以上、温泉とスパを併設するというから、海外規格の高級リゾートホテルになる。
 宿泊料金は名護市にあるザ・リッツ・カールトン沖縄を参考にすれば、シーズンオフの平日の室料でツイン1室4万円から、夏休みは8万円からになる。
 明治時代から続く日光レークサイドホテルの歴史は失われてしまうのか。

 本紙に載っていたのか気付かなかったが、今年3月11日付の日経新聞電子版が西武ホールディングスが日光プリンスホテルの2019年以降の再開を検討していると報じていた。
 地域ニュースになっているので、あるいは地方版で報じられただけだったのかもしれない。

 気になるのは、一般向けではなく、富裕層向けの会員制ホテルにする方針と書かれていることで、ザ・リッツ・カールトン日光の開業によって、急遽浮上した案なのか? 建て替えが必要と書かれている。

 この前日、同じ日経新聞が西武ホールディングスの会員制ホテル事業参入を報じているが、会員制ホテルに宿泊するには会員権700~1200万円、年会費15~20万円が必要で、この通りだとすれば、日光プリンスホテルが営業再開したとしても、かつて日光プリンスホテルに宿泊し、再開を待ち望んでいた多くの人にとって、宿泊の叶わない無縁のホテルにしかならなくなる。
 
 湖岸で見つけた金属杭は、再整備の準備のために敷地境界線を確認するためのものだったのか。
 西武ホールディングスの公式リリースはまだないようだが、日光プリンスホテルに家族で泊まった思い出を持ち、今は親となって再び子供たちに自分と同じ思い出を残したいと再開を待ち望んでいる、かつて子供たちを失望させないでほしいと願うばかりだ。
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金谷ボートハウスからの中禅寺湖の眺め

 長らく寂れていた中禅寺湖畔がリゾート化するのはいいが、外国人向けの避暑地だった戦前に戻ってしまうのでは、庶民にとって縁遠くなるだけだ。

 今年もホームページ「日光プリンスホテル写真館」に写真を追加した。
 工事が始まれば、おそらく来年の更新はない。
 「日光プリンスホテル写真館」は、新しい日光プリンスホテルにバトンを繋ぐことができるのか? 
 それとも、思い出の繋がらないホテルとなって、これが最後の更新になるのか。
 かつての日光プリンスホテルが、そこに閉じ込められたまま昔話になってしまうのは悲しい。


生まれ変わる中禅寺湖(3)時を止めた日光プリンスホテル

    
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森に囲まれた中禅寺金谷ホテルのロビーと部屋からの景色

 復興御宿富双江葉大馬・奥日光秘極の湯・興もだめで、日光レークサイドホテルもだめで、どこに泊まるべきかはたと困った。
 中禅寺温泉にあるホテルにしようか、それとも・・・
 星野リゾート界日光は、端から選択肢に入っていない。
 奥日光で日本旅館は出来るだけパスしたいし、それよりも圧倒的に高い。 
 結局、今回は中禅寺金谷ホテルに泊まることにした。

 中禅寺金谷ホテルは、昭和15年に日光観光ホテルの名で開業した歴史あるホテルで、戦後しばらくは神橋にある日光金谷ホテルともども、米軍の保養所となっていた。
 当時の写真は、食堂や廊下に展示されていて、興味深い。現在の建物は平成4年に建て替えられたもの。
 中禅寺湖との間に木立が茂っていて湖が見渡せないのが残念だが、森に囲まれたリゾートなホテルで、湖岸には接収時に造られたボートハウスがある。

 現在は日光自然博物館が管理していて、ボートハウスのテラスから中禅寺湖を何時間でも眺めていられる。
 まさに、時を忘れて悠久の時を過ごせる場所で、湖岸の遊歩道を散策して西岸の別荘地跡を訪ねることもできる。

 神橋そばにある日光金谷ホテルは、明治6年に開業した日本最古のリゾートホテル。
 百年カレーを始め、料理に定評があり、ここ中禅寺金谷ホテルを常宿にしている奥日光ファンも多い。

 余談だが、今回の朝食にオレンジマーマレードと苺ジャムが付いた。ヨーグルトにはブルーベリージャムが載せてある。
 私自身、手作りジャムを作っているので、どうしても真剣に味見する。

 丁寧に灰汁を抜いた透明感のある味で、オレンジマーマレードのピールの幅は1ミリまで。果皮は白い綿をそのまま残していて、やや多めのペクチンでとろみをつけ、味といい柔らかさといい絶品。
 苺ジャムはプレザーブと潰した実が半々で、これまた丁寧に灰汁を取り除いて、ペクチンで程よいとろみ。
 ブルーベリージャムは皮を残した通常の製法。
 ジャムを塗ったパンを食べながら、今度、金谷ホテルのジャム作りに挑戦してみようと、舌に誓ったのであった。 

 中禅寺金谷ホテルから見える菖蒲が浜の岬の奥に、日光プリンスホテルがあった・・・いや、建物は今もそのままだ。
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 龍頭滝の交差点から、湖の方に道を入って行くと、突当りにロータリーがある。
 ロータリーに今年も除雪車が置かれていて、ロープで敷地を囲った日光プリンスホテルがある。
 除雪車もロープもここ数年、見慣れた景色となった。

 英国大使館別荘記念公園がオープンし、ホテルも廃業したり新しく開業したりと、中禅寺湖周辺はどんどん姿をかえていくのに、ここだけは時が止まったように何も移ろわない。
 いや、ロープは汚れ、立入禁止の看板も埃がこびりついて文字が読めないくらいになって、8年間の時の澱は確実に堆積している。
 それでも、生まれ変わる中禅寺湖から取り残されたように、時間の進みはゆっくりで、止まっているようにしか見えない。

 その中で、植樹された樹木だけが時間の経過を感じさせて、菖蒲が浜スキー場は、そこがゲレンデだったという面影を失いつつある。
 湖に回ると、今年の中禅寺湖は大きく水量を減らしていて、干潟のように湖の縁の底を露出させている。
 砂浜に横たわる太い幹をベンチ代わりにして腰かけると、かつてホテルの庭にあったベンチに腰掛けて湖を眺めていた頃の思い出が甦る。

 旋回していた鳶が樹上に翼を休め、人の気配に鵜が飛び立つ。
 キャンプ場でテントを張る人の姿が小さく見える。
 ここから見る中禅寺湖は何も変わらない。30年前から何も変わっていない。
 振り返れば、木立の向こうに昔のままのプリンスホテルの建物が見えて、ただ一つ欠けているとすれば、そこに庭をかける子供たちの歓声がないことだ。

 今回、撮影した日光プリンスホテルの写真は、ホームページに追加した。

文月に日光を訪ねて(2)─日光プリンスホテルは平穏無事


 霧降高原から奥日光へ向かい、竜頭滝茶屋で遅めの昼食をとる。
 すっかり本降りで、滝の水が勢いよく落ちている。
 そんな雨の中でも滝を見に来る人はいて、傘をさして遊歩道を登っていくカップルもいる。

「これでは戦場ヶ原は無理だな」
「早めに宿に入った方がいいかもね」

 以前、雨の中を歩いて靴の中までびしょ濡れになったことがあった。
 行程はよく覚えていないのだが、赤沼のトイレ前に車を置いて戦場ヶ原を歩き、再び戻ってきて靴と靴下を脱ぐと足がふやけていた。
 ズボンの替えはあったが靴の替えがなかった。仕方なく裸足で車を運転して中禅寺湖まで行き、よろず屋でサンダルを買って、それを履いて東京まで戻った。
 さすがに裸足で東京まで運転する気にはならなかった。

 少し小降りになったので、日光プリンスホテルに立ち寄ってから宿に向かうことにする。
 もちろん日光プリンスホテルに入れるわけはなく、いつも通り日光プリンスホテルの無事を確かめに行くだけだ。
 雨降りなので草地に分け入ることもできず、道端に車を停めて、遠目からコテージの写真を撮る。ゲレンデ駐車場のあった付近まで歩き、これも遠目に植林された斜面を撮影する。

 すると後ろを1台の普通乗用車が通り過ぎていく。
 道の先には民家が2軒あるだけで、あとは閉鎖された日光プリンスホテルがあるだけ。
 写真を撮り終えて道に戻ると、さっきの車が来た道を帰っていく。
 おそらく私だちと同じように、日光に来るたびにホテルの様子を確かめに来るのだろう。
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 雨の中をわざわざ寄り道していく車。
 ロータリーを1周するだけで、この道には何もない。
 ホテルに再開の兆しがないことに落胆し、しかし無事な姿に安堵する。
 日光プリンスホテルの変化の兆しはない。しかし、今年の夏も無事、そこにあった。
 希望をまた来年に繋ぐ。

 ブログにもホームページにも、毎年、その変化のない写真を載せる。
 さして変わりのない写真を載せることに意味があるのかと考えたこともある。
 しかし、最近は毎年変化のない写真を載せることに意味があるのだと考えるようになった。
 日光プリンスホテルが平穏無事であることを、閲覧に来られた方にお知らせすることに意味がある。

 雨が降っていたので、今回は湖には行かなかった。
 写真を撮り終えて帰っていく。ただそれだけだ。
→日光プリンスホテルの他の写真は、ホームページに。

(写真は、日光プリンスホテル正面と龍頭滝)


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