横浜-上海、クルーズ船の旅(15)再見・上海

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開店したての上海ユニクロ

 前回書いた、浙江省にある水郷・西塘の帰り路、高速道路から見る上海の高層ビルの夜景もまた素晴らしかった。
 移動する車中ということもあって写真を撮らなかったが、中国の高層ビルは屋上が楼閣のようになっていて、夜になるとライトアップされる。

 ビルのてっぺんだけがペンライトのように光っていて、なんとも幻想的。ガイドの人の話では、衝突防止灯を兼ねているのではないかという話だった。
 なるほどと思いながらも、近くに住んでいる人には光害じゃないの? と考えながら車窓から見える幾多のライトアップビルを眺めるが、やはりきれい。東京でもあれば素敵だろうと思う。

 上海市の人口は2400万人で東京都の2倍。5万人の日本人が在留している。
 中国では省と同格の直轄市で、他に北京市、重慶市、天津市の3市がある。
 面積は約6300㎢で、東京都の約3倍。人口が2倍であることを考えれば、大きな都市であることがわかる。

 国慶節の前日、上海の中心に世界最大のユニクロがオープンした。
 錦江飯店からも近く、翌日の朝、たまたま通りかかったのだが、みんなユニクロの袋を持っていて、地下鉄に乗ってもユニクロの大きな袋を下げた人を見かけた。
 中国人の多くはユニクロが日本企業だと知らない人が多いと聞いた。ご時世から、ユニクロも国籍をステルスにしているのだろう。
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新しい地下鉄ホームは広くてホームドアも
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田子坊の看板下で記念撮影する人
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若い人でごった返す田子坊
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田子坊近くにある市場

 上海の地下鉄は清潔で便利。ホームも広く、東京同様に色分けした路線の案内板がしっかりしている。
 チケットの求め方は自販機のタッチパネルで路線図を出し、行き先の駅名を押し料金を入れるとICカードが出てくる。それを持ってスイカやパスモのように自動改札でかざして通り抜ける。乗り換えもOK。

 上海人は東京同様にチャージされたICカードを携帯しているらしく、自販機で切符を買う人はお上りさんだけ。
 つまり、自販機はすいているし、良くわからなくて手間取っていても誰もせかさない。みんな切符の買い方のわからない田舎者だから。
 というわけで、日本からの田舎者も「よくわからない」を連発しながら切符を購入したのであった。
 上海市内の移動は、安心して乗れて便利な地下鉄が断然お勧め。

 短い滞在だったので、どこに行こうかと迷った挙句、田子坊(Tianzifang)に行くことにする。
 入り組んだ狭い路地の両側に小さな店が並び、言って見れば原宿の竹下通りのような感じ。道はもっと狭い・・・って竹下通り、もう何十年も行ってないな。
 混雑度から言ったらアメ横の、しかもガード下の感じ。

 スナック系の飲食店が多いが、アクセサリーとか雑貨とかバッグとか服とか、若い子向けでやっぱり渋谷・原宿系。
 国慶節休暇もあって、若い子でごった返してすれ違うのも大変。中にはクレジットカードが使えるようなブティックもあって、英語も多少話すが、会話にはならない。
 若い子が集まる街は楽しい。中国の素顔が覗けるし、活気がある。

 近くには昔ながらの市場があって、野菜・肉・海産物を売っている。市場を見つけると必ず立ち寄ることにしていて、何を食材にしているのか中国庶民の生活が想像できて楽しい。

 入ったところに中国茶を売る店があって、ジャスミン茶と緑茶を売っていた。ジャスミン茶にしようか、市場で売っている緑茶だからそこそこの味なんじゃないとか話していると、中国人のおじさんがサービスするから買って行けという。
 お互い言葉が通じない中で話しているうちに、「これもつけろ」的な感じでサービスしてもらった。

 上海には小籠包の安い店があってチェーン展開している。
 軽めの昼食を食べようと思って、数量を間違えて注文してしまったが、英語が通じない。相手は中国語でなにか言うがもちろんわからない。こちらも負けじと日本語でまくしたてていると、店で食事を終えて出てきた在留の日本人が「どうしたんですか?」と訊く。事情を説明すると、中国語で店の人に話してくれて無事解決。
 それも旅のいい思い出になった。

 最初に書いたが、今、日本と中国はいい関係ではない。
 しかし、中国に行けば中国人の普通の生活があって、日本人だからといって嫌がらせを受けるわけではない。
 たまたま、そういう人に出会わなかっただけかもしれないが、翻って私たちは日本にきている中国人に嫌がらせをするだろうか? する人もいるかもしれないが、大多数の日本人は国と人とを分けて考える。
 中国人だって同じなのである。

 日本に来る中国人観光客は、きっと旅の良い思い出を持って帰る。日本に親しみを感じ、日本で買ったり食べたりしたものに愛着を持つ。
 上海もよい街である。西塘にガイドしてくれた日本人も、住みやすい街だと言っていた。ただし、物価は東京と変わらないそうだ。

横浜-上海、クルーズ船の旅(14)水郷・西塘


西塘の水路に並ぶ提灯と観光用の舟

 上海とその周辺は揚子江河口のデルタ地帯で、日本でいえば利根川河口の霞ヶ浦周辺。潮来のような水郷の村があちこちにあるが、映画の『ミッション:インポッシブル3』のロケ地で有名になった西塘(Xitang)にツアーで行った。

 西塘行きを提案したのは連れ合いで、日本からネットでツアーを申し込んだ。
 上海中心部から南西に60㎞。上海市を外れて浙江省に入ったところにある。公共交通機関はバスしかないような田舎だが、近年観光地となり、中国の若いカップルのデートスポットとして人気なのだそうだ。

 交通の足も悪く、夜景を見なければ行った意味がないので宿泊が前提となる。ツアーなら送り迎えが車なので、その日のうちに上海のホテルに戻れる。若干忙しないが、かといって見るところは少ない。
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細い道に飲食店や土産物屋が並ぶ
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水路に架かる橋は観光客で混雑
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『M:i:Ⅲ』、トム・クルーズのポスター
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左が夕食をとった食堂
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紛い物のキャラクター商品も売られている

 錦江飯店のロビーで待っていると、ツアーの迎えの男性がやってきた。
 玄関を出て見回すとバスがいない。マイクロバスもいない。男性についていくと、乗用車のドアを開けてくれた。
「今日のツアーはふたりだけです」
 観光タクシーか、専用ガイドを雇ったようなもの。
 聞けば日中関係が悪化して以来、日本からの観光客が激減してしまったのだそうな。

 乗用車は高速道路に上がると、一路西塘へ。国慶節休暇の影響で車の流れの悪いところもあったが、トイレ休憩の必要もなく、ノンストップで水郷に到着したのだった。

 舟の浮かぶ水路の両側は土産物屋や飲食店がずらりと並ぶ。これも観光地化の影響で、提灯の数も激増し、昔よりも華やかになったとか。
 奥まで行くとカラオケだかディスコだかのネオンが水面に鮮やかに映えている。
 若者が集まれば、情緒が売り物の水郷の村でも、原宿・渋谷化するのが中国流。ホテルも≒ラブホで、見回せば確かに若者たちが多い。

 水路のたもとの食堂で西塘の郷土料理に舌鼓を打ち、折角だからと上海蟹までいただいた。ビールもさっぱり系で旨い。
 食事をしていると中国人のお婆さんがやってきて歌を聴かないかという。楽器を持たない流しの歌手・・・みたいなもの。「北国の春」はどうかと日本語でタイトルをいうが、ガイドが断る。
 歌声の検討はつくが、ちょっと聴いてみたい気もした。

 西塘の郷土料理はなかなか旨い。中華の好きな連れ合いは、日本に帰ったら同じ料理を作ると意気込んでいたが、3ヶ月経ってもまだ皿に上がってこない。
 人のことは言えない。3ヶ月経っても、上海旅行記はまだ終わらない。年内に終わるのか?

横浜-上海、クルーズ船の旅(13)上海の街・外灘

                                            

錦江飯店ロビー、上段右から2番目が中曽根元首相
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道路に突き出して干す洗濯物
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国慶節を祝う大通りの中国国旗
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結婚記念写真を撮るカップル
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外灘の超高層ビル群
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外灘・旧共同租界の西洋建築
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ホテルの部屋の共同租界を描いたスケッチの1枚


 上海では錦江飯店(Jin Jiang Hotel)に宿泊。1930年代に開業した歴史あるホテルで、3つあるホテル棟の中の錦楠楼のロビーには、宿泊したVIPの写真が飾られていた。レーガン、プーチンに混じって中曽根元首相もある。

 到着が朝だったので、チェックインまで荷物を預かってもらい、共同租界の西洋建築の残る外灘(Wai tan)まで街歩きをする。

 中国では工事の足場は今でも竹で組む。そんな風景や、居住区の路地を飾る満艦飾の洗濯物、元競馬場の人民公園にある上海博物館前で結婚式の記念写真を撮影する新婚、様々なデザインを凝らした高層ビル、国慶節の国旗で飾られた大通り、旧市街の建物を眺め、世界一高いと御用新聞に叩かれたスタバで休憩をとり、再び歩き出すと、西洋風建物が多くなり、黄浦江と対岸のディズニーランド的高層ビル群が見える外灘に到着する。
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竹で組んだ工事用足場


 一つ書いておけば、中国では車両優先。歩行者は青信号でも、突っ込んでくる車やバイクに気をつけながら横断歩道を渡る必要がある。
 もっとも突っ込んでくる車両を怖がっているといつまでたっても道の向こうに辿りつかない。勇気を持って道を渡ろう。

  外灘は観光地。外国人よりも中国の地方からお上りさんが大量にやって来る。どこの国でもお上りさんはひと目でわかる。
 日本からのお上りさんは、ローソンで中華饅頭とペットボトルの中国茶を買って、フードコートのテーブルでランチを食べたのであった。

 それにしても中国語しか通じない。いや、正確には上海語しか通じないらしい。しかし、中国人のローソン店員は言葉が通じなくても、客の希望を叶えようと必死に応対してくれた。
 中国人は良くも悪くも商売熱心。それに比べれば、世界一高くて、庶民には高嶺の珈琲らしいスタバの中国人店員は、ちょっと気どった感じだった。
 どこの国も、やはり庶民は親切だ。

 流行語大賞になったオ・モ・テ・ナ・シは日本の専売特許と勘違いしている人が、外国に行き慣れている人にも多いが、きっと庶民のいるところには出かけないのだろう。
 私はこれまでにも外国で多くの親切な人たちに出会った。善人は世界中にいて、彼らは思いやりの精神を持っている。サービス料込みのオ・モ・テ・ナ・シではない「おもてなし」をしてくれる。
 おもてなしは、商売の道具ではない。

 帰りはタクシーを捕まえてホテルに直行。預けてあった荷物を受け取り、部屋に行こうとして迷う。
 部屋番号は1から始まるので、てっきり10階だと思ってエレベーターに乗ると、錦楠楼にはフロアは5階までしかない。1階はロビーとレストランだけ。
 ???

 その時、はっと気づいた。もう一度エレベーターボタンを見ると、Gボタンがある。
 つまり、ロビー階はグランドフロア。グランドフロアの次が1階というイギリス風。1階は日本でいえば2階に当たる。
 1階のボタンを押して2階に行き、無事部屋に入る。
 部屋には旧租界を描いたデッサン風の絵が飾ってあって、見てきたばかりの外灘なのではないかと思う。


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