プレミアム・フライデーとハナキンの違い(下)

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 先週の金曜日、いったいどれだけの人がプレミアム・フライデーに参加できたのだろう?

 プレミアム・フライデーは、月末の金曜日には早めに仕事を切り上げて退社しましょう、というのがコンセプト。
 音頭をとる経産省はその効用を3つ挙げている。
(1) 充実感・満足感を実感できる生活スタイルの変革への機会になる
(2) 地域等のコミュニティ機能強化や一体感の醸成につながる
(3)(単なる安売りではなく)デフレ的傾向を変えていくきっかけとなる

 本音は(3)で、(1)(2)は役人が考えたもっともらしい言い訳だ。
 もっと本音を言えば、アベノミクスが上手くいかないために、政府が無理やりひねくり出したアイディア。
 金曜日に早帰りさせて消費需要を無理やり作り出そうと、飲食業やレジャー産業、小旅行などの消費増を期待している。

 しかし、これほど浮世離れしたアイディアもない。
 世知に疎い政治家や役人の考えそうなことで、まず第一にプレミアム・フライデーの矛盾と欠陥を挙げれば、これに参加できるのは一部大企業の社員だけだ。
 飲食店やレジャー産業、旅行業の社員は、早上がりどころかむしろ大忙しで残業増かもしれない。

 総務省が発表している国勢調査の産業別就業者数では、第一次産業5%、第二次産業26%で、サービス業を含む流通・小売・金融などの第三次産業が67%となっている。
 第三次産業でも早上がりが可能な業種・職種はあるだろうが、いわゆる商業が大部分の人たちは、むしろプレミアム・フライデーで余暇の出来た人たちを受け入れる側にいる。
 こんなことは小学生にもわかる理屈で、これを「働き方改革だ」と言っている政治家たちの知能を疑う。

 一定の年齢以上の人たちは、プレミアム・フライデーと聞いて、かつてのハナキンを思い浮かべたことだろう。
 ハナキンは花の金曜日の略で、1980年代、円高不況を抜け出した日本がバブルへの階段を駆け上がっていた頃に誕生した流行語で、金曜日の夜、サラリーマンは仕事を早めに終えて盛り場に繰り出した。
 週休2日制が定着した頃で、1日増えた休日の土曜の前に、金曜の夜は飲み明かしたり、ディスコで踊り明かして、心行くまで楽しもうというムーブメントだった。

 もちろんプレミアム・フライデーのような官製キャンペーンではなく、人々が自発的に生み出したもので、言葉とともに流行となり、日本経済も活性化したわけだ。
 ハナキンが流行語となると、上司も理解を示して、金曜は残業させずに早めに仕事を終わらせるようにしたものだ。
 プレミアム・フライデーとハナキンの違いはそこにあって、似て非なるものといえる。

 プレミアム・フライデー(premium friday)というのもわけのわからない言葉で、直訳すれば質の高い金曜日という意味なのだろうが、試しにgoogle翻訳に掛けてみたら「プレミアム金額」というこれまたわけのわからない訳語となった。
 ちなみにYahoo!翻訳は「割増friday」である。

 プレミアム・フライデーは浸透しないと思っている。
 そもそも、なぜ月末の金曜日にしたのか? 給料日の後で、みんなが金を使うだろうという、これまた浅知恵か。
 通常、月末は忙しい。金曜は残業しても終えなければならない仕事がある。
 来月のプレミアム・フライデーは3月31日だ。なんと! 年度末である。
 3月31日のプレミアム・フライデーは、全国的に残業のための「割増friday」だと今から予想しておこう。

プレミアム・フライデーとハナキンの違い(上)

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 今日は初めてのプレミアム・フライデーだそうだ。
 政府と経団連が提唱して始める官製キャンペーンで、都知事の小池百合子さんが環境大臣だった10年以上前に始めたクールビズみたいなものだ。

 若い頃から自主的にクールビズをしていた私は、役所が提唱してクールビズを始めたときには正直、驚いた。
 民間会社がどんな服装で仕事をしようが、そんなことに政府が口を挟むべきではない。
 政府が口出しできるとしたら人権侵害をしているような場合で、例えばプールの監視員でもないのに女性従業員に水着着用を強要するようなことだ。
 或はドアボーイに真夏にコートを着用させるとか。

 ところが、こんなお節介な官製キャンペーンに素直に従う会社があったことにはもっと驚いた。
 例えば銀行とかゼネコンとか。
 そこで働く人たちは、「クールビズなのでノーネクタイですみません」とすまなそうに言い訳する。
 ノーネクタイが非礼かどうかは別として、まるで悪いことをしているような顔をする。

 これには裏があって、銀行・建設業といった監督官庁のある業種は、役所から官製キャンペーンの協力を求められる。

かんとくかんちょう【監督官庁】
民間の銀行・会社、または公共的団体などに対し、その事業について監督の職権を有する官庁。(大辞泉)

 手っ取り早く言えば、役所の許認可が必要だったり、法律によって規制されている業種の企業は、役所のいうことを素直に聞いておかないと意地悪される。
 それで会社は役所のいうことなので丸のみにして社員に命令する。
 6月1日~9月30日までがクールビズの期間と決められると、社員は会社が大事なのでそれに従う。
 上着を着るなと言われれば、肌寒い日でも上着を着ない。

 これとよく似ているのが学校だ。
 制服が決められている学校には衣替えというのがあって、6月1日と9月30日を境に夏服と冬服に一斉に切り替わる。
 融通の利かない教師は、四角四面にこれを強要したりする。

 クールビズもこれと同じで、本来なら本人の裁量に任されるべきことでも、会社が強要する。
 そして社員も、会社が決めたことだからとこれに従う。
 金正男を暗殺しろと命令されたら、国が決めたことだからと従うのかもしれない。

 そんなバカな! と思うかもしれないが、戦前の日本はそうだった。
 疑うなら『私は貝になりたい』という映画を見るとよい。
 昨年亡くなられた三笠宮崇仁親王も日本軍の残虐行為を証言している。
 
 さて、プレミアム・フライデーである。以下、次号。

「神ってる」以外に言い表す言葉がないか?

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 25年ぶりにリーグ優勝をした広島カープだったが、日本シリーズでは惜しくも日本一を逃した。

 もう10年以上、プロ野球には関心がなくなっていたが、今夏、広島の快進撃を耳にして多少は野球のニュースを見るようになった。
 実はかつて広島カープのファンだったので、それもあったかもしれない。
 私は東京生まれ、東京育ちで、「何でカープファンなの?」と昔よく聞かれた。
 話すと長くなるので、そのことは06/08/03「61年目の夏と靖国神社──原爆の日、広島カープ、長崎の鐘」を読んでほしい。

 今シーズンのカープの快進撃は、1975年の初優勝の時を思い出させた。
 あの時は10月まで巨人と競り合ったので、9月早々に優勝を決めてしまった今年はまさしく監督の緒方孝市さんが言うように「神ってる」状態だった。

 当時の監督は古葉竹識さんで、山本浩二さんが中心打者。その山本浩二さんが監督だった1991年に6回目の優勝を果たし、それから25年間、優勝できなかった。
 野球に興味を失ったのはカープが弱くなったからではなく、野茂英雄さんや伊良部秀輝さんに続きイチロー選手が大リーグに移籍した2001年頃からで、別に大リーグの試合を熱心に見たわけではないが、きっかけなんてそんなものだ。

 1999年に主力の江藤智さんが巨人に移籍、2002年に金本知憲さんが阪神に移籍すると、急速に関心を失った。
 中心選手も黒田博樹投手や新井貴浩選手に入れ替わり、私にとってのカープの時代が終わる。

 緒方孝市さんが活躍したのは江藤智さんや金本知憲さんの頃だ。
 1991年の優勝経験を持つ緒方孝市さんにすれば、25年ぶりにカープに優勝の女神が降臨した思いだったのかもしれない。
 神ってる。

 さて、前置きが長くなった。
 クライマックスシリーズを圧倒的な強さでカープが制したとき、新聞を読んでいたらカープ女子の人が「神ってる以外に言い表す言葉がない」と話していた。
 そんなことないだろう、と思わず声に出した。
 「神ってる」は、おそらく「神憑っている」の省略形で、外に言い表すとしたら「神憑っている」なのだ。

かみ‐がか・る【神懸(か)る/神×憑る】
[動ラ五(四)]神霊が人のからだに乗り移る。また、人が普通と違うようすになることにもたとえていう。(デジタル大辞泉)

 大辞林にこの言葉がなかったところをみると、「神+憑る」で2語と見做しているのかもしれない。
 ちなみに広辞苑を紐解くと、やはり見出し語に「神憑る」はなく、名詞として「神憑り」がある。
 このことから、「神憑る」は「神憑り」の動詞化と見ることもできるのかもしれない。

かみがかり【神懸かり・神懸り・神憑り】
(名) スル
〔古くは「かむがかり」〕
①神霊が人の体に乗り移ること。また、そのような状態やその人。
②尋常とは思えない言動を行うこと。また、いちずに信じこむこと。(大辞林)

 広辞苑もほぼ同じ語釈である。
 大辞林によれば、動詞形は「神憑りする」で、「神憑る」も省略形ということかもしれない。
 「神憑る」の動詞連用形に、接続助詞「て」と補助動詞「いる」が付いたものが、「神憑っている」で、状態を表わす。
 それをさらに省略したものが、「神ってる」。

 まあ、文法なんてどうでもいいことかもしれない、意味が伝われば。



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