東京地名考─神田祭で神田市場の神輿は誰が担ぐのか?(2)

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 神田市場は町名ではないが、昔の秋葉原を知っている人間なら懐かしい響きを持つ名だ。
 これを地名といってよいのかはわからないが、確実にある場所を示す土地の名だった。
 名だった──というのは、すでに秋葉原からこの名は消えていたからで、むしろ「神田市場」を名乗る神輿があることに驚いた。
 今はなき神田市場の神輿を担いでいるのは、いったい誰なのか?

 秋葉原にあった神田青果市場は昭和10年(1935)2月に東京市中央卸売市場神田分場として発足した。
 中央卸売市場というのは法律によって地方自治体が開設する卸売市場、公設市場で、大正12年(1923)3月に公布された中央卸売市場法によって東京市中央卸売市場が開設された。
 神田分場というくらいだから本場があるわけで、本場の築地は神田と同じ年に発足している。
 築地本場が青果・水産などを総合的に扱うのに対し、神田分場は青果を扱った。

 法律の公布は大正12年3月で、昭和10年2月の東京市中央卸売市場開設まで12年の年月を要しているのには理由がある。
 京都市は昭和2年(1927)、高知市は昭和5年(1930)、横浜市・大阪市は昭和6年(1931)、神戸市は昭和7年(1932)に開設されているが、東京市が遅れた理由は大正12年9月に起きた関東大震災にある。

 中央卸売市場法は、第一次世界大戦後の大正7年(1918)に起きた米騒動などの物価高騰への対応策として制定されたもので、食料品価格の安定化を図るのが目的だった。

 東京市中央卸売市場神田分場の開業は昭和10年(1935)だが、この地に市場が完成したのは昭和3年(1928)のことで、当初は東京市市設神田青果市場として始まった。
 中央卸売市場としてスタートするために、青物問屋組合の調整と準備が必要だったようだ。
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須田町1丁目8番にある神田青果市場発祥之地碑

 秋葉原の市場開場前、つまりは昭和3年以前は、神田川を挟んだ神田多町周辺に青果市場があった。
 その神田多町周辺の青果市場の青物問屋が秋葉原に移転したのだが、こちらの市場の始まりは江戸初期と考えられている。

 神田市場の始まりについて、『東京府志料』には、慶長(1596~1615)の頃、神田多町一丁目の河津五郎太夫という名主が草創した蔬菜市が始まりだと書かれている。
 蔬菜(そさい)とは、青物のことだ。

 もっとも市が立ったのと、私たちが一般に考える常設的な市場が形成されるのとには違いがあって、後者については更に半世紀ほどを要したようだ。(続く)



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