不倫はいつ始まったのか?(中)


粗野なニュージーランドの不倫。
不倫を成就してパルム・ドール受賞

東洋的色香が人気の香港の不倫。
2組の夫婦がWどころか卍不倫する

 女性議員の不倫がブームだ。
 最新は民進党を離党した山尾志桜里さん、その前は自民党の今井絵理子さん、日本維新の会を除名された上西小百合さんも秘書との不倫温泉が話題になった。

 浮気心、出来心は誰にでもあるが、さて、不倫はいつからあったのか?
 日本語大辞典を紐解けば、明治36年、国木田独歩の小説『正直者』に不倫という言葉が登場している。

 主人公である「私」の父は、私が幼い頃に母が死んだあとも女中兼帯の妾を置き、それが「私」の記憶だけでも4人はいた。
 そのため真の家庭らしいものは作られず、「何故父は、さる不倫なことをして居たかといふ理由は知りません」と「私」は語る。

 不倫について、日本語大辞典は次のように説明する。
ふりん【不倫】
不道徳であること。特に男女関係で人の道にそむくこと。また、そのさま。

 『正直者』では、「私」は父について、情愛を持って妾に接したことはなく、ただ肉欲の満足のみをしているとし、それを不倫だと言っている。
 また「私」自身、下宿屋の娘とデキてしまい、その母娘から結婚を迫られるが、勤め先の校長に仲介を頼み、縁談を先延ばした挙句に娘を捨ててしまうという不実な青年で、父親と同じ不倫なことをしたと告白している。

 週刊誌やワイドショーの不倫報道では、既婚者が他の異性と肉体関係を持つことを不倫としていて、相手方が既婚者であればダブル不倫という言い方をしている。
 『正直者』は、やはり男女関係について不倫という言葉を使っているが、週刊誌やワイドショーの不倫の定義とは違って、父については女に対して肉欲だけで情愛がないことを不倫、人の道に背いているとし、私についても同様とし、男女の関係性よりも「人の道」に重きをおいていることがわかる。

 日本語大辞典には、高村光太郎の詩集『道程』(大正3年)から「癈頽者よりーバアナアド・リイチ君に呈す」も引用されている。
 こちらは友人のイギリス人陶芸家に宛てた詩で、当時デカダンスに陥っていた光太郎が、「余のまことに不倫なる自暴自棄の心を懐けるを」と、男女は関係なく、単に自らの不道徳を言っている。 

 50年前の広辞苑第二版では、不倫に男女は関係ない。
ふりん【不倫】
人倫にはずれること。人道にそむくこと。

 つまり、不倫が「特に男女関係について」使われるようになったのは、近年になってからということだ。
 まして、不倫に既婚を云々するようになったのは最近のこと。
 不倫が本来の意味で「人倫にはずれること」だとすれば、不倫をした議員は即刻、国会議員を辞職する、国会議員を辞職させるのが、小中学校で正課に格上げされた「道徳」の趣旨に沿っている。



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七会 静 (ななえ・しずか)

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ハリー・ポッターの魔法ワールド大図鑑 (廣済堂PB)
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