絶滅危惧種・隠居ってナニ?

[000429]
 ときどき落語を聞きに行く。八っつあん、熊さん、ご隠居…お馴染みのメンバーだ。
 さて、そのご隠居さんが絶滅の危機に瀕している。今年の話題の人、グレタさん流に言えば、ご隠居は大量絶滅の始まりにいるわけだ。

 わが日本政府は、二酸化炭素排出量…ではなく、年金給付金を減らすために、75歳まで受け取りを延長できるようにするのだという。
 1961年に国民年金制度が始まった時、受給開始年齢は60歳だった。その後、60歳から65歳と段階的に引き上げられ、今は70歳まで延長することが可能だ。

 1961年の年金開始時、平均寿命は男が65.32歳、女が70.19歳だった。
 2018年の平均寿命は、男が81.25歳、女が87.32歳。まあ平均寿命だけで比べれば、75歳からの受給でもむべなるかなである。

 昔の映画などを見ていると、50歳を過ぎればそろそろ隠居という話がよく出てくる。
 伊能忠敬が隠居したのは50歳の時で、第二の人生を日本地図の作製に捧げた。73歳で没している。
 下総国佐原の伊能家の家業は酒造・米穀取引などの商業で、長男に家督を譲って隠居した。

 隠居といってもいろいろで、大辞林には次の4つが挙げられている。
いんきょ【隠居】
①勤め・事業などの公の仕事を退いてのんびりと暮らすこと。また、その人。
②民法旧規定で、戸主が生存中に家督を譲ること。
③「隠居差控」の略。
④世俗を逃れて山野などに閑居すること。

 伊能忠敬の場合は①で、家督とは家の財産・事業などを含む家長としての地位の総てのこと。②の戦前の旧民法下では、原則60歳にならないと隠居できなかった。
 隠居差控は武家などで不行跡があった際の処分で、強制的に家督を譲らさせられること。

 諸事総てを後継者に任せ、のんびりと好きなことをやって暮らす。隠居にはそんなイメージがある。
 60歳なら元気もまだあるし、日本全国を歩いて地図の測量も出来るというもの。余力を残しての第二の人生ということになる…が、政府はそうは考えないらしい。

 余力があるなら隠居などしないで働いて、税金を納め、社会保険料も納めなさいということらしい。
 75歳で隠居して、第二の人生のための余力など残っているんだろうか?
 いや、その頃には、今度は80歳まで働けと政府が言い出しかねない気がする。

 隠居などという言葉は、時代劇か落語の中だけの言葉になって、疲れて仕事から帰ったお祖父ちゃんが、「隠居ってナニ?」と孫に訊かれるような死語になる運命なのだろうか。

 平成から令和に代替わりした今年も、もうすぐ終わる。
 今年最後の言葉は隠居だったが、こちらのブログはまだまだ隠居しない…つもりだ。


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