飯舘村の放射能──騙されてはいけない数字のトリック
IAEAが発表した飯舘村の放射能汚染は、やはりヨウ素131だった。IAEAのヨウ素131の避難基準は10メガベクレル(Bq)で、サンプル数を15に増やした結果、その平均が7MBqだったので基準以下で安全という結論になった。
しかし、何ともおかしな話である。
15サンプルには10MBqを上回るものがある一方で、最低は0.6MBqであり、10MBqを上回った箇所も詳細なデータも公表していない。
ここには巧妙な数字のトリックが隠されている。
そこで一般的な相加平均だと考えて、平均が7MBqになる場合についてシミュレーションしてみた。

表のcase1は原子力安全委員会の主張に沿って最大値の20MBqが特異値だったと考えた場合である。残り13のサンプルを単純に同じ値とすると、6.5MBqとなって14地点で10MBqを下回る。
case3はIAEAの避難基準を上回る地点が最大の場合である。15サンプルの内、9地点で10MBqを上回ることになる。
上記は両極端をシミュレーションした場合だが、case2は最も自然に二次関数の分布曲線を用いて計算した。この場合、4地点で避難基準を上回ることになる。
これらから、15サンプルの内の数地点でIAEAの避難基準を上回っているのではないかと考えられる。
もちろん、だからといって避難しなければいけない状況だというわけではない。
政府は空気中の放射線量は健康被害を招くほどではないと言っている。しかし、それでも雨などで地上に降下したヨウ素131で土壌を高度に汚染したのではないかという疑いが残る。
そもそもIAEAの避難基準10MBqに対して、平均7MBqという数値が無視できるほどに低い数値なのか? 3MBq下回っているに過ぎない。
さてここで、前回の記事をお読みの方は、避難基準値に矛盾があるのに気づいたかもしれない。
前回、IAEAは飯舘村で放射性物質は未分析だが2MBq/㎡を測定し、それが避難基準の約2倍であると書いた。ソースは日経新聞の31日夕刊である。
翌1日、IAEAは放射性物質はヨウ素131で20MBq/㎡だったと修正した。共同通信の配信で「(前日の発表はIAEA担当者が)数字を取り違えたとみられる」と記者は書いている。ここは要注意である。
そして2日の日経新聞は、IAEAが冒頭の発表を行ったと伝えた。
大きな疑問として、IAEAは20MBqを2MBqと一桁違う数値に単純に取り違えたのだろうか? しかも重要な避難基準についてである。
共同通信記者は単に「数字を取り違えた」と書いているが、おそらくセシウム137とヨウ素131では避難基準の数値が一桁違っていたからではないかと考える。
計測器については知らないが、一般的には放射線の粒子の個数を測り、ベータ線やガンマ線の線源を特定した上で吸収線量や放射能を計算するそうである。
つまりIAEAの発表した放射能の数値も、ベクレルやシーベルトで直接測っているのではなく、放射性物質によってまずベクレルに換算し、次にシーベルトに換算して数値を算出している。
当初発表の2MBqというのは、セシウム137などを線源に想定した上での数値だったのかもしれない。したがって、31日のIAEAの発表はセシウム137の避難基準で、それが約1MBqだったのではないか。
この点について、マスコミが言及しないこともあるが、IAEAも触れていない。
31日の発表の後、日本側の保安院と原子力安全委員会の猛烈な反撃に遭って、IAEAは急にトーンダウンした印象を否めない。
避難基準を下回ったというヨウ素131については、平均値が基準を下回ったという数字のトリックについて既に書いた。
問題点は二つある。一つは平均が避難基準を下回っても、数サンプルで避難基準を上回っていると考えられること。これが安全だということになるのか?
もう一つは、避難基準を下回った平均値が、はたして問題のない数値といえるのかということだ。
避難基準を下回ったから安全だという言葉の誤魔化しに、IAEAまでが加わったのか。混乱を恐れた日本側からの要請だったのか。
ついにIAEAまでが隠し事に加わってしまったのか。
取り敢えずは数値が下がっているという言葉を信じるしかないのだが・・・
しかし、何ともおかしな話である。
15サンプルには10MBqを上回るものがある一方で、最低は0.6MBqであり、10MBqを上回った箇所も詳細なデータも公表していない。
ここには巧妙な数字のトリックが隠されている。
そこで一般的な相加平均だと考えて、平均が7MBqになる場合についてシミュレーションしてみた。

表のcase1は原子力安全委員会の主張に沿って最大値の20MBqが特異値だったと考えた場合である。残り13のサンプルを単純に同じ値とすると、6.5MBqとなって14地点で10MBqを下回る。
case3はIAEAの避難基準を上回る地点が最大の場合である。15サンプルの内、9地点で10MBqを上回ることになる。
上記は両極端をシミュレーションした場合だが、case2は最も自然に二次関数の分布曲線を用いて計算した。この場合、4地点で避難基準を上回ることになる。
これらから、15サンプルの内の数地点でIAEAの避難基準を上回っているのではないかと考えられる。
もちろん、だからといって避難しなければいけない状況だというわけではない。
政府は空気中の放射線量は健康被害を招くほどではないと言っている。しかし、それでも雨などで地上に降下したヨウ素131で土壌を高度に汚染したのではないかという疑いが残る。
そもそもIAEAの避難基準10MBqに対して、平均7MBqという数値が無視できるほどに低い数値なのか? 3MBq下回っているに過ぎない。
さてここで、前回の記事をお読みの方は、避難基準値に矛盾があるのに気づいたかもしれない。
前回、IAEAは飯舘村で放射性物質は未分析だが2MBq/㎡を測定し、それが避難基準の約2倍であると書いた。ソースは日経新聞の31日夕刊である。
翌1日、IAEAは放射性物質はヨウ素131で20MBq/㎡だったと修正した。共同通信の配信で「(前日の発表はIAEA担当者が)数字を取り違えたとみられる」と記者は書いている。ここは要注意である。
そして2日の日経新聞は、IAEAが冒頭の発表を行ったと伝えた。
大きな疑問として、IAEAは20MBqを2MBqと一桁違う数値に単純に取り違えたのだろうか? しかも重要な避難基準についてである。
共同通信記者は単に「数字を取り違えた」と書いているが、おそらくセシウム137とヨウ素131では避難基準の数値が一桁違っていたからではないかと考える。
計測器については知らないが、一般的には放射線の粒子の個数を測り、ベータ線やガンマ線の線源を特定した上で吸収線量や放射能を計算するそうである。
つまりIAEAの発表した放射能の数値も、ベクレルやシーベルトで直接測っているのではなく、放射性物質によってまずベクレルに換算し、次にシーベルトに換算して数値を算出している。
当初発表の2MBqというのは、セシウム137などを線源に想定した上での数値だったのかもしれない。したがって、31日のIAEAの発表はセシウム137の避難基準で、それが約1MBqだったのではないか。
この点について、マスコミが言及しないこともあるが、IAEAも触れていない。
31日の発表の後、日本側の保安院と原子力安全委員会の猛烈な反撃に遭って、IAEAは急にトーンダウンした印象を否めない。
避難基準を下回ったというヨウ素131については、平均値が基準を下回ったという数字のトリックについて既に書いた。
問題点は二つある。一つは平均が避難基準を下回っても、数サンプルで避難基準を上回っていると考えられること。これが安全だということになるのか?
もう一つは、避難基準を下回った平均値が、はたして問題のない数値といえるのかということだ。
避難基準を下回ったから安全だという言葉の誤魔化しに、IAEAまでが加わったのか。混乱を恐れた日本側からの要請だったのか。
ついにIAEAまでが隠し事に加わってしまったのか。
取り敢えずは数値が下がっているという言葉を信じるしかないのだが・・・