東京地名考─消えた地名・護持院ヶ原(中)


IMG_7113 (367x275)
大塚にある豊島岡墓地
知足院_武州豊島郡江戸庄図1632 (367x275)
江戸白銀町の知足院(右下)。左に架かるのが日本橋
ゑ入江戸大絵図1684 (367x277)
湯島切通の知足院(中央)。道を挟んで湯島天神、左下が不忍池
元禄江戸大繪圖(宝永) (367x275)
神田橋御門外の護持院(中央)。左下に神田橋、上に一ツ橋
1833文政改正御江戸大絵図 (367x276)
大塚の護持院(右)。左隣が護国寺

 茨城県の筑波山神社は文京区にある皇族用墓地、豊島岡墓地と縁がある、という話の続き。

 筑波山中腹にある筑波山神社拝殿の土地には、明治維新まで江戸の鬼門を守護する知足院中禅寺があった。

 慶長15年(1610)、幕府の命で江戸白銀町(現在の千代田区岩本町付近)に知足院の護摩堂が創建され、江戸城護持の祈禱を命じられた。

 天和2年(1682)、江戸白銀町の知足院は火災に遭い、貞享元年(1684)、湯島切通(現在の文京区湯島4丁目6番付近)に移転。
 この土地も、江戸城の北東、鬼門に位置しているのは変わらない。
 さらに元禄元年(1688)、神田橋御門外に寺領1500石を拝領して移転、大伽藍が建てられることになる。
 知足院に対する徳川綱吉と生母・桂昌院の信仰は篤く、手厚い庇護を受けたという。
 ちなみに神田橋御門外も江戸城の北東、鬼門に位置している。

 さて、ここからが本題で、この元禄元年の移転の際、江戸知足院は筑波山護持院元禄寺に名を改める。
 護持院はもちろん、江戸城を護持するための祈禱寺ということからだが、享保2年(1717)、類焼によって全焼してしまい、時の住持は職を辞してしまう。
 大伽藍を失ったという責任を感じたのか、はたまた江戸城を護持するための護持院が自ら丸焼けになったのでは洒落にならないと思ったのか。
 責任を取らされたのだともいう。

 時の将軍・徳川吉宗は、護持院をこのまま廃するわけにはいかず、大塚にある将軍家ゆかりの寺で、護持院と同じ大和長谷寺末である護国寺に、護持院を引き継がせることにする。
 護国寺は神君・徳川家康ゆかりの護持院に本坊を譲り渡し、自らは観音堂に移ることになる。

 こうして、護国寺の同じ寺領内に護持院が隣り合うことになるが、幕府の手厚い庇護を受けていたのが禍したのか、明治維新を迎えると新政府は護持院を廃し、明治天皇第一皇子が死産したのをきっかけに、護持院の領地を召上げて墓所にしてしまった。
 この墓所は豊島ヶ岡御陵と呼ばれ、皇族専用の墓地として現在の豊島岡墓地に繋がっている。

 一方、筑波山にあった知足院中禅寺は、江戸知足院が筑波山護持院に改名した際に同じく院号を護持院に改め、明治維新に連座して廃仏毀釈されてしまった。
 明治政府は天皇を中心とする国家神道の再構築を行い、廃寺された中禅寺の跡地に筑波山神社が入ったという次第。 
 これが筑波山神社は豊島岡墓地と縁がある、という話の顛末だ。(続く)

コメントの投稿

非公開コメント



著書の紹介
▼本ブログ運営者の近著です。
リンク
▼運営者の関連サイトです。



▼オンライン辞書
goo辞書  YAHOO!辞書  infoseekマルチ辞書
weblio辞書  @nifty辞書  英辞郎on the WEB

▼参加しています。
ブログランキング・にほんブログ村へ

サイト案内
調べたい言葉を、下の窓に入れて検索ボタンを押してみてください。
もしかしたら、その言葉について書かれた記事が見つかるかも・・・

▼本ブログについての説明・・・
「言葉の重さと、我が存在の軽さについて」  (2007/2/3)
最新記事
最新コメント
カテゴリ
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
月別アーカイブ
運営者

七会 静 (ななえ・しずか)

▼著書
「ハリー・ポッター」のホントの魔法事典 (廣済堂PB)
よくわかる「世界の死神」事典 (廣済堂文庫)
ナルニアへの旅 (主婦と生活社)
幻の錬金術師列伝 (主婦と生活社)
ハリー・ポッターの魔法ガイドブック愛蔵版 (主婦と生活社)

(c)NANAE SHIZUKA

メールフォーム

▼運営者への連絡にお使いください。

お名前:
メールアドレス:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
QRコード
QR
お知らせ
▼更新は、現在週1回程度を予定しています。
▼本ブログではFC2アクセス解析を行っています。
▼2006/6/30以前の記事は JUGEM ブログ、2011/9/30以前の記事は忍者ブログに掲載していたものです。2011/9/30以前のコメントには、移転時に一部欠落してしまったものがあります。またコメントに対しての運営者の返事はすべて欠落しています。コメントをいただいた方には、ご了承をお願いします。
▼上記移転時に、一部レイアウトの乱れているページがあります。またリンクが正しくないものがありますが、ご了承ください。
▼不適当と判断されるコメントは、断りなく削除することがあります。
▼トラックバックは受け付けていません。
▼本ブログでは著作権法の権利を保持しています。記事および写真の無断での複製・転載・送信・翻訳等はできません。
▼記事の一部を引用する場合は、本ブログからの引用であることを明記し、上の欄のメールフォームでご連絡ください。
▼リンクはフリーです。