東京都庁で学ぶ伏魔殿&ブラックボックス

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 伏魔殿という言葉がある。大辞林には次のように説明されている。

ふくまでん【伏魔殿】
①魔物が隠れている殿堂。
②陰謀や悪事が常に行われている所。悪の根城。

 出典は明代の中国伝奇小説『水滸伝』で、北宋の時代、道教の本山・龍虎山に建てられた堂宇の一つに「伏魔之殿」が出てくる。
 代々の老師・天師が魔王を閉じ込めてきた建物だと説明されているが、洪進という官僚が封印を解いてしまい、妖魔が放たれてしまう。
 役人が緘口令を敷いて、不祥事を隠蔽してしまうのは世の倣いで、洪進もまたこれを隠して山を下りてしまう。

 最近の伏魔殿の代名詞は東京都庁だが、『水滸伝』に学べば、伏魔殿に潜んでいるのは都庁の役人ではなく、ほかに魔物がいるということで、役人は魔物が世に蔓延るのを隠蔽していただけに過ぎないということになる。
 では魔物は一体誰か? ということになるが、豊洲市場移転や東京オリンピック招致の裏で利権を貪っていた連中がいたのかもしれないし、それに政治家が絡んでいたのかもしれない・・・などと、ワイドショーのように想像を逞しくしてしまう。

 これぞ、都知事選挙で、小池百合子さんが言っていたブラックボックスなのか?

ブラックボックス【black box】
①機能は知られているが,内部構造が不明の装置。電子回路などで,内部構造を問題にせずに入力と出力,原因と結果だけを扱う場合の,その過程や回路・装置。
②転じて,処理過程が部外者には不明な仕組みや機構。また,他人が簡単には真似のできない専門的な技術領域。(大辞泉)

 魔物は暗闇に棲むものと相場が決まっていて、魔女や魔王たちが集まるサバトの集会、ワルプルギスは夜に開かれる。
 ローマ神話の月の女神ディアナは、魔女の女神ともされ、夜の象徴。
 イザナギがイザナミに逢いに行った黄泉の国も地下にあり、逃げるイザナギを魔物たちが追ってくる。

 『水滸伝』の魔物たちも地下の深い穴に閉じ込められていて、伏魔殿もまたブラックボックス。
 そういえば、豊洲市場の地下にもブラックボックスがあったっけ。

 西新宿に空しく聳える、丹下健三設計の東京都庁。
 伏魔殿、ブラックボックスにすむ魔物たちは、ここから地上に放たれたというわけか。
 さて、伏魔殿・ブラックボックスの魔物たちの正体やいかに?
 小池百合子の快刀乱麻、乞うご期待・・・なるか?

(写真は、逢魔が刻の伏魔殿、または影に浮かぶブラックボックス)

最近ブームの御朱印帳はスタンプラリーか?(下)

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 最近、寺社に行くと、御朱印をもらいに来ている人をよく見かける。
 浅草寺には、御朱印を受けに来る人たちに対して、心得を書いた掲示が貼りだされている。曰く、

 ──お経も書写せず、あるいはお堂に入ってお参りもしないで、ただご朱印だけを集めて歩くということでは、本来の尊い意義を無視してしまうことになり、あるべき姿から離れてしまいます。

 お参りもせずに御朱印だけを受ける人がいるとは驚きだが、最近は御朱印ガールなどというのもいるらしい。
 ちなみにTwitterで「御朱印ガール」を検索してみると、写真・動画入りで御朱印ガールたちのつぶやきが並んでいる。

 御朱印ガールたちが参拝もせずに御朱印だけを集めていると言っているわけではなく、ちゃんとお詣りして宗教心も篤い人が多いのだろうと思う。
 見かけで判断するのが正しいわけではなく、もしかしたらリュックを背負って寺社巡りをしているオジサンが、参拝もせずに御朱印だけを集めているのかもしれない。

 東京で最も歴史のある浅草寺は、御朱印を受ける人も多くて、正直なところ困惑して節度を求めているように見受けられるが、寺社側はただ迷惑をしているだけかというと、そうともいえない。

 例えば、毎年初詣客では首都圏で1、2位を争う川崎大師では、5か所で9種類の御朱印を用意している。成田山新勝寺は4か所5種類。
 大抵の寺社が1~2種類の朱印しかないのに比べ、ホームページにも載せて商売熱心なのがわかる。

 最近は、観光のために新たに○○七福神を設定しているところもあって、七福神めぐり専用の御朱印帳まで販売されている。
 東武鉄道などは「日光・浅草・上野御朱印ラリー」などというものまで企画している。
 ホームページには御朱印の意味について書かれてなく、「素敵な賞品もご用意しているので、日光旅を楽しみながら、御朱印集めを初めてみませんか」とは、東照大権現もさぞかしお嘆きのことだろう。
 もちろん、このラリーに浅草寺は参加していない。
 似たような観光企画は地方の寺社でも行われていて、御朱印集めがスタンプラリーだと揶揄されるのも仕方がない。

スタンプラリー
〔和 stamp+rally〕一定の経路を巡って各ポイントに置いてあるスタンプを集めるゲーム。(大辞林)

 亡くなった母は、昔、旅行には必ず御朱印帳を携行して、参詣した寺で御朱印を受けていた。
 不幸なことにその後長患いとなり、御朱印を受けに旅行にも出られなくなったのだが、宗教心の欠片くらいは持ち合わせている私としては、コレクション感覚で御朱印集めをしているという話を聞くと、宗教心以前のこととして、悲しいような寂しい気持ちになる。

最近ブームの御朱印帳はスタンプラリーか?(中)

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 散歩などでときどき神社や寺に行く。境内に入れば、神仏にご挨拶しなければ失礼だと思い、礼拝する。
 最近は寺社の参拝者の中に、御朱印をもらいに来る人をよく見かける。

ごしゅいん【御朱印】
寺院や神社に参詣・参拝した際,証として授け与えられる印影。朱印。寺社の名称,本尊や神体の名称,日付などが墨書され,護符の宝印が朱,墨で押される形が多く,布施や初穂料を納めて押印してもらう。(日本大百科全書)

 有名社寺では御朱印をもらう人の列ができていたり、あまり名も知られていないような社寺でも御朱印を求める人がいて驚く。
 さては、無宗教だといわれる日本人の信仰心が高まったのか?

 そう思って調べてみると、そうではないらしい。
 東京に住む人なら一度は行ったことのある浅草寺には、御朱印を受けに来る人たちに対して、心得を書いた掲示が貼りだされている。

 前記の日本大百科全書の説明には続きがあって、次のように御朱印の起源を説明している。
 
 ──書写した経文を奉納した際に納経の証明として授与されたものが起源とされ、西国巡礼などの信仰とともに広まったとされている。授与される場所を納経所とする所が多いのも、こうした成り立ちによるものと考えられる。朱印を納経印とよび、納経した人にのみ授与する寺院もある。

 つまり、写経したものを寺に納めた時の受領証というわけだ。
 大辞林には、

ごしゅいん【御朱印】
朱印の敬称。

としか書かれていない。
 さらに朱印については、

しゅいん【朱印】
①朱色の印肉で押した印。特に,戦国時代以降,将軍・大名・武将などが命令・公認などの公的文書に用いたものをいう。御朱印。
②「朱印状」の略。

と、味も素っ気もない。
 日本郵便や宅配便が荷物を届けに来た時に、玄関先で受領書に押してあげる三文判もまた朱印。丁寧にいえば御朱印というわけだ。

 戦国大名や江戸時代の将軍が、花押の代わりに朱印を押して発行した公的文書が朱印状
 朱印状を受けて外国との貿易に従事した船が朱印船、御朱印船
 朱印状によって領有が認められ、課役、年貢を免除された寺社領が朱印地
 朱印状によって所有を確認された土地の、朱印状に記された石高が朱印高

 浅草寺の心得には、本来の御朱印の意味について書かれた後、納経がなくても参拝の証として押されるようになったこと、それが四国八十八ヶ所霊場巡りなどで御朱印をコンプリートすれば願いが成就するという信仰に変わっていったことが書かれている。
 そして、以下のように結ぶのである。

 ──お経も書写せず、あるいはお堂に入ってお参りもしないで、ただご朱印だけを集めて歩くということでは、本来の尊い意義を無視してしまうことになり、あるべき姿から離れてしまいます。少なくとも『般若心経』一巻または『観音経』偈文などを書写なさるか、ご宝前で読誦されるなどして、その後に「ご朱印」をお受けになるようにして頂きたいものです。

 お参りもせずに御朱印だけを受ける人がいるとは、もしこれが事実なら驚きだが、実際、趣旨を離れて、御朱印集めをしている人がいるのかもしれない。(続く)


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