奥日光・高山への遠い旅路(2)

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 中禅寺温泉から見える高山(中央右側の山)

 奥日光へ電車で出かけるとなると旅路は遠い。
 前回は池袋で終わってしまった。

 切符を買い、家に戻ると俄然その気になってくる。
 登山用のリュックを引っ張り出し、ハイキングとはいえそれなりの準備を始める。
 よく知っている場所だが、山と渓谷社のサイトから地図を印刷する。
 
 簡単な山歩き程度の登山経験しかない連れ合いのことを考え、龍頭滝の滝上から登ることにする。登山口に近いところにバス停もある。
 約1350mの標高なので、1668mの高山頂上までは単純計算で300m余りの標高差になる。
 地図で見るかぎり、尾根伝いのゆっくりとした登りなので、いきなりめげることもないだろう。

 頂上からの下りは、小田代原の幕張峠、中禅寺湖畔の熊窪から千手ヶ浜に抜けるコースがあるので、頂上までの状況で判断することにする。
 場合によっては同じ道を戻っても良い。
 標準タイムで登り1時間20分、下り50分から1時間20分。
 ゆっくり登っても、休憩込みで5時間を見ておけば、夕方までにはホテルに投宿できる。

 問題は雨だけ。
 リュックに雨具を入れながら、その時はのんびり温泉に浸かって雨の中禅寺湖を眺めることにしようと考える。
 旅行日が近づいてきて、どうやら当日はなんとか天気が持ちそうだと安堵する。

 朝、私はリュックを背負い、連れ合いは旅行ケースを引っ張って浅草駅までやってくる。
 7時半の電車なので、早めに駅に行って朝食を食べる算段だったが、駅ビルにあるタリーズコーヒーはまだ開店してなかった。
 地下にドトールがあったが、荷物を持って階段を上り下りする気にもなれなくて、馬道通りを渡って仲見世に近いマクドナルドに入り、朝マックのビッグブレックファストを食べる。
 初めての朝マック。早起きはしてみるもんだ。

 7時前なのに店内には結構人がいる。
 ご近所の老人だろうか? 朝の散歩と朝マックがセットになっているのかもしれない。
 これから仕事だという風の人もいて、下町の盛り場の開店前の朝の猥雑感が漂う。

 マクドナルドを出て改札口に向かい、けごん5号に乗り込む。
 すっかりおしゃれになって、昔の東武特急とは様変わりしている。
 電車が動き出して、幼かった頃の思い出が甦る。

 まだ幼稚園に上がる前、朝の8時頃だったろうか。
 お手伝いさんに連れられて、踏切に特急けごんを見に行くのが日課だった。
 「きぬ」ではなく、「けごん」でなければいけなかった。
 鬼怒川ではなく、日光でなければいけなかったのだ。

 なぜ、「けごん」でなければいけなかったのだろう。
 幼い頃の自分に問うても、はっきりとした答えは返ってこない。(つづく)

奥日光・高山への遠い旅路(1)

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 半月山からの高山(中禅寺湖を挟んだ正面。奥が戦場ヶ原)

 もう1か月以上前のことになるが、9月上旬、奥日光に行った。
 今頃の奥日光は紅葉真っ盛りだが、9月上旬はまだ草紅葉もうっすらとしていて、夏が終わっていない。

 奥日光を毎年訪れるようになって四半世紀になるが、ずっと心に引っかかっていたことがあった。
 今はない日光プリンスホテルの向かいに高山という標高1668mの山があって、いつか登ってみたいと思っていた。
 中禅寺湖の海抜は1269mで、標高差にして400mなので、ハイキング程度の山だ。 

 山登りの嫌いな連れ合いに声をかけて、一緒に行くかどうか尋ねた。
 嫌だと言われたら一人で登るつもりでいたが、初心者でも登れるコースだからというと、その気になった。

 彼女は前々からイギリスのセブンシスターズに行く計画を練っていて、そのためには多少歩かなければならないと聞かされていた。
 私自身は詳細を知らないので、どのような歩行コースなのかわからないが、彼女にとってはトレーニングというか脚力を鍛えるには良いかもしれないと思ったようだった。

 ハイキング程度とはいえ、8月に登るには暑さがこたえるし、10月は紅葉シーズンで行き帰りの混雑が予想される。かといって11月では寒い。
 それで9月上旬を選んだ。

 行き帰りは電車とバスを利用することにし、下山した後は温泉で一泊することにした。
 4日間有効の「まるごと日光 東武フリーパス」というのがお得だということを知り、池袋駅にある東武トップツアーズという旅行代理店に行く。

 初めて聞く旅行社の名前だと思い、係りの女性に「今は東武トラベルという旅行社はないんですか?」と訊くと、「東武トラベルとトップツアーズが合併してできた会社なんです」と教えられた。
 四半世紀日光に通いながらも、かように疎くなっていた。

 雑談を交えながら、「まるごと日光 東武フリーパス」と往復の特急券を予約する。
 浅草を朝7時半発の特急けごん5号。
 「個室はご利用されますか?」と訊かれて、「いやホテルは予約してあります」と答えると、「いえ、列車の中にある個室です」と返される。
 「え? コンパートメントがあるんですか?」

 片道1時間50分の列車にコンパートメントがあるとは思いもしなかった。
 前に東武特急に乗ったのは何十年前のことだったろう。あれは鬼怒川温泉への社員旅行だったか。
 今はスペーシアというおしゃれな車両が使われているそうだが、昔のベージュ色をしたごっつい車体の特急電車で、メニューのおでんを注文して酒の肴にしたことを思い浮かべながら、時代は変わったものだとつくづく思う。(つづく)

政治家と政治屋の違い(下)

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 政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の世代を考える──
 
 政治屋は、本来なら政治家というべきところを蔑んで言う表現となっている。

 一般には、〇〇家というと何だか偉そうなイメージがあり、〇〇屋というとそれよりは軽んじた感じがある。
 土建屋、写真屋、本屋、瀬戸物屋、チンドン屋、植木屋、印刷屋、花屋、質屋、一発屋、飯屋・・・
 建築家、写真家、小説家、陶芸家、音楽家、園芸家、版画家、華道家、銀行家、起業家、料理家・・・

 言葉狩り華やかし頃、八百屋、魚屋、肉屋という〇〇屋といった言葉が、職業を蔑んだ表現、職業差別に当たるという意見があった。
 それぞれ、青果店、鮮魚店、精肉店と言い換えられたが、絵本や児童書では読者の子どもには何のことかわからない。
 それで、八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さんと、さん付けすることで問題を回避した。

 「おい、八百屋!」とか言えば確かに蔑んだニュアンスかもしれない。
 しかし日常会話で、「八百屋で人参買ってきてくれる?」と使われる時、誰も八百屋を蔑んでなどいない。
 〇〇屋という場合、そこに蔑みの意味が込められて初めて差別表現になる。

 家と屋の漢字の意味については、家は宀(やね)+豕(ぶた)で家畜に屋根を被せたさま、屋は上から覆いをして出入りを止めた意、つまり屋根で覆った家を表している。
 もっとも〇〇家で使われる場合は、家族又はその住居の意味が転じて、専門の学問・技術の流派又はそれに属する者のこと。
 一方、〇〇屋で使われる場合は、本来は家の屋根のことだが、日本で特有の意味が与えられ、その職業の家を表す言葉となる。

 字義からいえば、二世・三世政治家はまさしく政治屋ということになる。
 大辞林は次のように説明する。
  
せいじか【政治家】
①政治を行う人。政治を担当する人。
②政治的手腕をもつ人。駆け引きがうまい、事を巧みに処理する能力をもつ人。

せいじや【政治屋】
私利私欲のためにその立場を利用し、公的な責任感に欠けた政治家を軽蔑していう語。

 statesman(政治家)とpolitician(政治屋)の違いについては、ブリタニカ国際大百科事典の説明がわかりやすい。

政治家
政治活動に従事する人間。政治家はしばしば politicianと statesmanとに分けられる。イタリアの政治学者 G.モスカは,前者を「統治システムにおける最高の地位に達するのに必要な能力をもち,それを維持する仕方を心得ている人物」と定義し,後者を「その知識の広さと洞察力の深さによって,自分が生きている社会の欲求をはっきりと正確に感じ取り,できるだけ衝撃や苦痛を避けて,社会の到達すべき目標に導く最善の手段を発見する方法を知っている人」と定義して,両者を区別している。 M.ウェーバーは,政治家の資質を責任感,情熱,洞察力の3つに求めた。

 わかりやすく書けば、次のようになる。

 政治屋は、首相の地位に上りつめるための権謀術数に長け、首相の座を維持し続ける方法を心得ている者。
 政治家は、広範な知識と深い洞察力によって国民が求めているものを正しく認識し、国民にショックや負担をできるだけ与えないようにし、日本が進むべき未来に向けて最善の政策を立てられる人。
 政治家に必要なのは、責任感・情熱・洞察力の3つである。



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七会 静 (ななえ・しずか)

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