レモンのような容姿の「はるか」で作るマーマレード


 昨年、11/7「普通オレンジでベーシックなマーマレードを作ってみる」を書いて以来、ジャムの話題はすっかりご無沙汰だった。
 ジャム作りに飽きたとかいうわけではなく、この間も着々とジャムは作っていた。
 11月は旅行があってジャム作りはお休みしたが、12月早々に金柑ジャムを作り、知人夫婦にプレゼントした。
 たいそう喜ばれて、空瓶を返せばまた充填してくれるのかと訊かれもした。

 そうした時は、どんな果物が好きか訊くことにしている。
 これまでの経験で、好きな果物イコール好きなジャムである場合が多い。
 返事は西瓜と和梨だった。

 西瓜ジャムは正直作るのが面倒なのと、苦労したほどの結果をもたらさない。
 いや、それは私の個人的意見で、西瓜好きが食べれば別なのかもしれない。
 いずれにしても夏以降でないと作れない。
 そう答えると、知人夫妻がジャムにしてくれと、知り合いからもらったという夏みかんを送ってきた。

 よりによって夏みかん。
 夏みかんは苦味抜きが必要で、ピールを作るのに手間がかかるし、肩が凝る。
 夏みかん特有の風味があるが、それが苦手でなければ抜群においしく、苦労しただけの甲斐はある。
 依頼する方はそんなことは知らないので、二、三日送られてきた夏みかんと睨めっこをしてから、意を決して作った。

 知人夫妻には、近々会った時に渡すことになっているが、今年に入ってからはそれ以外にもスチューベン、柚子、ポンカン、紅玉を作っていて、先日、八百屋の店先ではるかに魅せられて、マーマレードにすることにした。
 はるかに魅せられた理由は、レモンのように小振りで黄色い容姿。

 試しにスマイルカットして食べてみると、これが甘い。
 そのまま食べてもジューシーで美味しい。
 果皮を齧ってみると苦味もないので、軽く水に浸すだけにした。
 ただ、房の薄皮部分は結構固いので、果肉だけを取り出し、ピールを加えてマーマレードにすることにする。
 ネットには輪切りにするというレシピもあったが、それは今度改めて試してみることにしようか。薄皮がちょっと気になるが・・・

 出来上がったマーマレードは甘くておいしい。
 もっとも連れ合いは、若干風味に乏しく、味に個性が足りないという意見だった。

はるかマーマレードの作り方。


風呂をうめる、ってどういう意味?(下)

#kawaraya(bath)090829
 お風呂をうめるについて、大辞林には次のように書かれている。

うめる【埋める】
⑦水を加えてぬるくする。また、薄める。 「お風呂を-・める」 「酒ニ水ヲ-・ムル/日葡」
 
 例文の日葡は日葡辞書のことで、1603~4年に刊行された日本語からポルトガル語への辞書。薄めるの意味で「うむる」が使われている。

 語釈⑦は、お風呂・酒を「うす(薄)める」が「うめる」に訛ったのではないか?
 ふと、そんな考えが頭をよぎる。
 で、結論から言えば、そうではなかった。

 日本国語大辞典(小学館)を調べると、「薄める」という言葉が使われるようになったのは近年のことだ。
 初出は1909年の森鷗外『金貨』で、「小男は薄めて酒を飲みながら」。1910~11年の夏目漱石『思い出す事など』にも使われていることから、明治後期には「薄める」という言い方が一般化していたと考えられる。

 もとは「うす(薄)し」の形容詞で、『源氏物語』などに用例がある。物の密度や濃度などが少ないこと、淡いことで、形容動詞の「うす(薄)め」の用例が登場するのは、1722年の『浄瑠璃・浦島年代記』で、「薄し」の動詞化は近代に入ってからという推測ができる。

 これに対し、「うめる」の用例は1010年頃の『紫式部日記』、同じころの『栄花物語』にすでにある。

 面白いのは日本国語大辞典の説明で、「温かさや濃さを適度にするために、他の物を混ぜ入れる」に付け加えて、「温くするために湯に水を入れる。また、温かくするために湯を加える」と書いていることだ。
 つまり、大辞林の「⑦水を加えてぬるくする。また、薄める」だけでなく、ぬるい水に熱い湯を加えることもまた「うめる」ということだ。

 1809~13年の『滑稽本・浮世風呂』には次のように書かれているそうだ。
「あついといへば水をうめ、ぬるいといへば湯をうめる」

 家庭風呂ではウメルことがなくなった。
 せめて銭湯や温泉に行った時くらいは、ウメルを使わないと本当に死語になっちまうな。

 あつくても がまんした
 うめなかった。


風呂をうめる、ってどういう意味?(中)

IMG_8181 (367x275)
「うめる、ってどういう意味?」
「うめるって、お風呂の?」
「そうみたいだけど・・・熱くても我慢してうめなかった、って書いてある」

「お湯に水を入れてぬるくすることだよ」
「それって下町言葉? 池袋の人みたいだけど」
「そうねえ、そうかもしれないな。うめるって、使ったことない?」
「ない」
「そうか・・・昔の風呂はカマタキだったから、熱くて水で薄めたんだよ。それをウメルって言ったんだけど、今の風呂は給湯器で温度調節するから、ウメル必要ないもんな」
「ウメルは死語だね」

かまたき【缶焚き・竈焚き・竃焚き】
かまの火をたくこと。また、その人。(大辞林)

 私が子供の頃は、薪や石炭で風呂を沸かした。
 薪や石炭をくべると、風呂の水はどんどん熱くなる。肌が真っ赤になるくらいに熱くなる。

くべる【焼べる】
燃やすために、火の中に薪まき・紙などを入れる。(大辞林)

 死語のオンパレードだ。

 熱い湯が好きな大人はそれでも我慢して入るが、肌の柔らかい子供は水でうめないと入れない。
 今でも銭湯はボイラーで沸かしているから、子どもにはうめないと入れないのだろうが、銭湯に行く機会はあまりない。

 さて、本題の「うめる」である。
 「うめる」は下町言葉でも方言でもなかった。
 大辞林には次のように書かれている。

うめる【埋める】
①穴などのくぼんだ所に物を詰め平らにする。 「穴をパテで-・める」 「運河を-・める」
②地中に入れて見えなくする。 「水道管を-・める」
③上や周囲を他の物でおおって見えないようにする。うずめる。 「火を灰に-・める」
④人や物がたくさん集まり、それ以上入れない状態になる。みたす。うずめる。 「会場を-・めた群衆」
⑤他のものをあてはめて、欠けた部分をなくす。ふさぐ。 「余白をカットで-・める」
⑥損失・不足などを補う。 「赤字を-・める」 「新人募集をして欠員を-・める」
⑦水を加えてぬるくする。また、薄める。 「お風呂を-・める」 「酒ニ水ヲ-・ムル/日葡」

「あつくても がまんした うめなかった」の語釈は⑦だが、ここでふと疑問が頭を掠める。
「お風呂を埋める」なのだろうか?
「お風呂を薄(うす)める」が訛ったのではないのか?



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